Purpose
パーパス策定に
込めた想い
- ダイワボウホールディングス株式会社
常務取締役 兼 経営戦略担当 - 猪狩 司
ダイワボウグループは2023年11月、新たに発行した統合報告書において自らの存在意義である「パーパス」を公表しました。
その策定プロジェクトを率いた取締役の猪狩に、パーパスに込めた想いを聞きました。
パーパスとは、社会における企業の存在意義を示すものであり、昨今、企業が永続的に発展していくためにパーパスが強く問われる時代になっています。ダイワボウグループにおいても、未来に向けてどのように社会に貢献していくのかというパーパスを明確にすべきだとの考えのもと、時間をかけて策定しました。統合報告書において、当社グループの事業活動がどのような資本をもとにして成り立ち、社会に対してどのような価値をもたらしているのかという「価値創造プロセス」を示す必要があり 、このプロセスの上でどんなビジネスを展開すれば成長し続けることができるのか、その考えの根幹になるものをパーパスとして明文化しようと努めました。
2022年の秋より統合報告書のプロジェクトが始動し、まずはグループ内の各部門と連携しながら、私たちが持つ強みや、それをもとに解決できる社会課題について意見交換をし、10項目のマテリアリティ(企業における重要課題)をまとめ上げました。そしてパーパスの検討にあたっては、それらのマテリアリティを包括し、かつ私たちの志が見えるようなグループ共通のメッセージを掲げることを意識しました。外部のアドバイザーを利用することも考えましたが、まずは自分たちで策定することを優先。最終的に魂がこもった響く言葉というのは、自ら生み出したものでなければならないと考えたからです。そしてパーパス自体は、グループ社員全員が自分ごととして捉えられる言葉を模索しました。
パーパス策定は、企業の成長や競争力強化につながる重要な取り組みです。「私たちの会社は今後どうありたいのか」をグループ社員にあらためて示したものであり、このパーパスがすべての事業活動の基本となります。そしてパーパスの策定とあわせて、グループ社員にとっての行動指針となる価値観を整理しました。パーパスを実現するために大切にすべき共通の価値観として、「パートナーシップ」「多様性と尊重」「感謝と熱意」「誠実と公正」「価値創造への挑戦」という5つを定義しており、今後はこのパーパスや価値観に照らし合わせて意思決定し、単に自社の収益を上げるだけではなく、社会全体の利益を追求することで自らも成長する企業グループを目指していきます。
当社グループは「ITインフラ流通事業」と「産業機械事業」という異なる事業体を抱えていることから、パーパスはグループ全体で共感できるものにする必要がありました。「つなぐ」という言葉は検討当初からキーワードになっており、いずれの事業もBtoBのビジネスモデルの中で、取引先企業や地域社会とのつながりが何よりも大切だという考えが根底にあります。そして、取引先企業や地域社会の方々と連携しながら、新たな価値を生み出したいという想いを「バリューチェーン」という言葉で表現。さらに、当社グループの事業によって未来を幸せにしたいという意志も込め、これらをすべて織り込んだ一つのメッセージに仕立てるために試行錯誤を繰り返しました。
2023年11月に統合報告書を開示して以降、パーパスをより具体的にイメージしてもらえるよう、その意図を説明したサブメッセージとともにグループ社員に発信していきます。同時に、パーパスに沿ってダイワボウグループは何を目指すべきなのか、その方向性をトップが自らの言葉で伝えていくことに努めています。こうしてグループ内に浸透させた上で、中期経営計画では、このパーパスを念頭に置いた成長戦略を打ち出して実行していくことになります。また、社内だけではなく、投資家の方々に向けた決算説明などのIR資料においても、このパーパスをしっかりと訴えて市場からの信頼をさらに得たいと考えています。
今回、自らのパーパスを定めたことで、ダイワボウグループが進むべき道が明確になりました。パーパスに沿って新たな事業を続々と生み出し、社会への貢献と企業の成長を同時に果たしていきたい。これからも当社グループのビジネスモデルは、時代の変化に対応しながら変革を繰り返していくことになると思いますが、その際には絶えずこのパーパスに立ち返ってあるべき姿を社内外でしっかりと共有し、「バリューチェーンで人をつなぐ、社会をつなぐ、未来へつなぐ」ことを追い求めて、未来永劫、社会に必要とされ続ける存在でありたいと考えています。