バリューチェーンの新潮流03
脱炭素で迫られる、
ものづくり革新
今、地球規模で求められている脱炭素社会の実現に向けて、ダイワボウグループの産業機械事業はどのような取り組みを繰り広げているのか、その最前線を探る。
気候変動の問題解決に向けた
エネルギー変革が、
製造業にもたらす
重大なインパクトとは。
SCROLL DOWN
今、地球規模で求められている脱炭素社会の実現に向けて、ダイワボウグループの産業機械事業はどのような取り組みを繰り広げているのか、その最前線を探る。
1998年新卒入社。以来、主に営業でキャリアを重ね、新製品の企画開発プロジェクトなども自ら立ち上げてリードし、成果を上げた実績を持つ。西日本地区、東日本地区の課長を経て国内営業部長を務め、現在は営業本部全体を率いる立場。「“脱炭素”を我が事として捉え、エネルギーを“使う”側ではなく、“つくる”側に立って社会に貢献したいという、そんな志のある方に参加してほしい」と語る。
世界では今、CO2排出による地球温暖化がもたらす気候変動によって自然災害が多発し、人びとの暮らしが脅かされている。持続可能な未来に向けて「脱炭素」が喫緊の課題であり、あらゆる企業がその対応を迫られている。ダイワボウグループの産業機械事業も、今後「脱炭素」への貢献がいっそう求められると上田は語る。
「脱炭素に向けては、CO2を多量に発生する化石燃料からの脱却が必要ですが、まだまだ世界のエネルギー事情は化石燃料への依存が大きいのが現状です。したがって、経済活動におけるエネルギー消費をより減らすことが重要であり、私たちも省エネルギーを徹底的に追求した工作機械の開発に努めてきました」。
しかし、脱炭素を真に実現するには、機械の省エネルギー化に加えて、もっと次元の高い取り組みが必要だと上田は訴える。
「機械が使用するエネルギー量を削減するだけでは、脱炭素にも限界があります。私たちの機械によって省人化や無人化を推進し、お客さまのものづくり全体を効率化すれば、製品一個あたりに費やされるエネルギー量が大幅に削減されて脱炭素が促されていく。すなわち、より少ないエネルギーでより多くの製品を生産できる、そんな体制をつくることが求められているのです」。
一方、脱炭素社会を実現するための再生可能エネルギーへの投資も、世界規模でますます活発になっている。電力会社などのエネルギー業界も、従来の事業モデルからの変革を迫られており、そこにもダイワボウグループは新たな価値を提供できると上田は言う。
「私たちの工作機械は、エネルギー業界にも深く関わっており、発電設備の部品の製造に欠かせないものです。これまでメインだった火力発電設備で培った技術を、水素やアンモニアなどCO2を排出しない次世代エネルギーによる発電設備に転用し、さらに高精度化することで、エネルギーをロスなく電力に変換できるインフラづくりに寄与できると考えています」。
また、昨今有力な再生可能エネルギーとして「洋上風力発電」への注目が高まっている。特に海に囲まれた日本は、洋上風力発電を展開できる余地が大いにあり、国も普及を推進している。ここにも大きなチャンスがあると上田は睨んでいる。
「洋上風力発電の設備は、大型でありながら発電効率向上のために高精度な加工が求められるため、私たちの機械が大いに実力を発揮できる分野です。この市場の中心は中国ですが、さらなる開拓に務め、優れたエネルギーインフラを構築することに貢献していきます」。
ものづくりの精度をいっそう向上させ、
優れた技術をグローバルに展開していく
ダイワボウグループの工作機械をさらに進化させ、エネルギー業界などで求められるものづくりの精度と生産効率を一段と向上させることが、結果として脱炭素社会の実現につながっていく。それが、上田が今描いているビジョンだ。
「ものづくりの精度を上げるためには、今まで職人が介在していた部品の製造工程を、私たちの機械に置き換える必要があり、より高度な技術が必要です。AIなどのテクノロジーを駆使して、職人の“手”と“眼”に代わる機能を機械に搭載することにも挑戦していきます。さらに、お客さまのものづくりの現場を深く理解し、お客さまごとに省人化・無人化につながる機械をオリジナルで企画開発していくことにも力を入れていきます」。
今後有望な洋上風力発電分野については、グローバル展開をさらに進めていくという。洋上風力発電機の製造は、中国で新たなプレイヤーの参入が増えており、同国に攻勢をかけていく戦略だ。新興国の発展にともない、これから世界規模でエネルギー需要がますます増大していく。経済成長と脱炭素を両立するエネルギーインフラを築き上げる、そんな未来に向けて克服しなければならない重大なテーマに、ダイワボウグループの産業機械事業は全力を挙げて貢献していく。