予測困難な
VUCA時代を生き抜くために、

子どもたちの学びは
どう変わっていくべきか。

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バリューチェーンの新潮流01

ICT化の先に見えてくる、
新しい教育のカタチ

次世代を担う子どもたちに欠かせないICT教育が求められる今、ダイワボウ情報システムはどんなビジネスを展開しているのか、その現場を追った。

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ダイワボウ情報システム株式会社
戦略ビジネス推進部長
岡本 哲也

1995年入社。以来、営業職としてキャリアを重ね、北九州、静岡にて支店長職を務める。その後、教育ICT部門の責任者となり、現在は教育ICTに関わる全社のイベントやオウンドメディアの展開にも携わる。「どのような効果が期待できるか、常に現場目線を意識しながら、多くの関係者を巻き込んで教育ICTビジネスを大きく展開する。そこに仕事の醍醐味がある」と語る。

viewpoint

1人1台の学習者用端末を実現した今、求められているのは、
問題発見・解決する力を養うためのICT整備

情報化社会が急速に進展していくなかで活躍する人材を育成するためには、ICT活用が必要不可欠。そうした課題を背景に、2020年にはGIGAスクール構想(※1)により、児童生徒に1人1台の学習者用端末環境が実現。ダイワボウ情報システム(DIS)もそこに大きく貢献したと、岡本は自負している。
「当社は2020年に教育現場へのPC導入実績の国内シェアを大きく伸長させました。今ではグループワークで子どもたちが活発に議論し合うなど、授業の様子が目に見えて変わっており、その学習効果の大きさを実感しています」。
そして、GIGAスクール構想の成果をベースに、今、取り組みが始まっているのが、世界各国ですでにその導入が進んでいるSTEAM教育(※2)の推進だ。
「1人1台の学習者用端末は情報化社会のいわば“文房具”。一方、教科横断的なSTEAM教育で求められるのは、子どもたちの各教科での学習を、実社会での問題発見・解決に活かしていくための、いわば“プロ仕様のツール”です。その学びのイメージは、本質的な課題に対して子どもたちが主体的に探究活動を行い、その成果を社会に発信すること。そのため、さらに高性能なPCや3Dプリンター・画像編集ソフトなどを配備した教室が求められており、DISの新たなチャンスがここにあると確信しています」。

児童生徒用のパソコン端末1人1台と、高速大容量の通信ネットワークを一体的に整備する、文部科学省による構想。2020年に全国で整備が完了した。 科学(Science)、技術(Technology)、工学(Engineering)、芸術(Art)、数学(Mathematics)の頭文字から取った言葉で、これら理系・文系の学問を横断的に学び、問題を見つける力や解決する力を養う新しい学習方法。日本政府は現在、STEAM教育の推進を図ろうとしており、日本の教育現場では今後、本格的に導入が進む予定だ。

地域間・学校間格差なく、継続的に教育ICTを支援、
その実現に向け存在価値が高まるDIS

一方、ICT教育の普及が進むなかでは、ICTの活用度の地域間・学校間格差という課題も出てきている。
「その要因の一つは、ICTの知識を含め、教師は何でも知っているべきという強迫観念だと思います。しかしながら、教育ICTの実現は、子どもたち同士で教え合う形でも成り立ちます。また、DISが実施しているSTEAM教育の実証研究では、地域の大人を巻き込む事例も。例えば、ものづくりの街として有名な燕市では、優れた技術を持つ大人たちと子どもたちが協働して、今後、課題解決に取り組んでいこうとされています。このように地域密着で事業を展開するDISだからこそ、地域、学校ごとの状況に合わせて、ICT導入のみならず、ICTを活かした授業のヒントを提供することができます」。
また、教育ICTの市場拡大に伴い、新たなプレイヤーが続々と新規参入。そんななか、ディストリビューターとしてのDISの存在価値はますます大きくなる。
「教育ICTは長期間の継続性が非常に重要です。しかし、参入しても長続きしないメーカーやベンダーなどが多く存在するのも事実。そこでDISが末長く連携できるメーカー・ベンダーを見極め、かつ教育現場との間に立って情報のフィードバックを行い、最適な環境を提供していくことが、さらに重要になってきます」。

他に先駆けたDISの取り組みが
STEAM教育の実現への原動力に
STEAM教育の実現に向けたDISの強みは、インテル社が実施するSTEAM Lab(高性能PCや3Dプリンター・画像編集ソフトなどを配備したSTEAM教育環境)の実証研究に協力し、18校の研究実証校への導入・支援を行っていること。そのなかで生まれた実践事例を活かし、全国の教育現場への本格導入に貢献していくことが期待されている。

strategy

中立的な立場で産官学の協力体制を支え、
課題を先読みし、その先の教育ICTを創造

DISが中立的な立場で産官学の協力体制を支えながら、課題を先読みしていくこと。それが、その時代に求められる最適な教育ICTの実現につながっていくと、岡本は確信している。
「当社はさまざまなメーカーや全国の販売店、教育委員会、文部科学省まで、教育ICTに関わるあらゆる関係者と話し合いを重ね、教育ICT全体を俯瞰するなかで、今後あるべき姿を先回りして考えています。2023年に国が予算をつけた、“DXハイスクール事業”もその一つです。小・中学校と異なるのは、例えば農業高校なら、“農薬散布のためのドローンのプログラム作成”など、さらに高度なICT活用が求められること。こうした教育ICTの広がりを予見していた当社は、その実現に向けて早くも動きはじめています。また、教職を目指す大学生向けにICT活用ができるよう教育する、“教員養成フラッグシップ大学”の指定校との連携協定も行っています」。
最初にSTEAM教育の重要性を訴えたアメリカをはじめ世界各国と比較して、日本ではまだその取り組みが始まったばかり。だからこそDISの役割は大きいと、岡本は語る。
「私たちが教育ICTをご支援している市町村の学校で育った子どもたちが、地域ひいては日本の未来の創り手になれるようなサポートを目指していきます」。