PROJECT REPORT 01
他に先駆けて蓄積した知見のもと、
長年にわたり、教育ICTの導入から活用までノウハウを蓄積してきたダイワボウ情報システム(DIS)。
そんなDISが今推進しているのが、STEAM教育(※1)実現に向けたICT機器導入支援だ。
そのプロジェクトの一つ、小・中学校向けSTEAM教室の提案事例をご紹介する。
(※1)科学(Science)、技術(Technology)、工学(Engineering)、芸術(Art)、数学(Mathematics)の頭文字から取った言葉で、
これら理系・文系の学問を横断的に学び、問題を見つける力や解決する力を新しい学習方法。
日本政府は現在、STEAM教育の推進を図ろうとしており、日本の教育現場では今後、本格的に導入が進む予定だ。
「STEAM教育」の知識がまだ浸透しないなかで、
いかにその実現に向けた提案を行うか?
DISではこれまで、他に先駆けてインテル社と協業し、学校・教育機関向け「STEAM Lab プラットフォーム」(※2)の研究実証校への導入や支援に取り組み、また、日本経済新聞社大阪本社主催の「日経STEAM2023シンポジウム」では高校生・大学生向けにゼミを開催するなど、STEAM教育実現に向け下地づくりを進めてきた。これらの活動を通じ、DISは今、全国を舞台に、これまでPC操作方法の習得の場であったPC教室から、ハイスペックPCや3Dプリンター、デジタルコンテンツ制作アプリケーションなどを設置した“STEAM教室”への切り替え提案を推進しはじめている。
そんななか、関西エリアの営業支援担当者が今回挑んだのが、関西エリア某教育委員会(以下、某教育委員会と表記)向けのSTEAM教室プロジェクトだ。その最初のハードルとなったのは、DISの販売パートナーにもまだまだSTEAM教育の知識が浸透していないことだった。販売パートナーに理解してもらえなければ、エンドユーザーである教育委員会に向けて説得力ある提案などできるはずがない。そう考えた営業支援担当者は、長年にわたり信頼関係を築いている販売パートナーの担当者に声をかけ、まずは販売パートナー向け勉強会の実施を提案。その場で、「DISが新しい取り組みを始めるのなら、実現性が高いはず」と快諾いただいた。そして販売パートナーの営業メンバーを集め、STEAM教育の特徴や、STEAM教室に求められるICT環境の詳細などについてレクチャー。そこで納得感を得た販売パートナーは、エンドユーザーにアプローチ。PC教室から新しいSTEAM教室への切り替えを持ちかけたところ、某教育委員会から好反応が得られた。
それを受けて販売パートナーから、詳細提案のために同行を打診された営業支援担当者は、再び一計を案じた。販売パートナー向けと同様、某教育委員会向けに勉強会を実施し、そのなかで合わせて、DISが行っている実証実験の事例や政府の動き、STEAM教室の全国的な進展状況などを伝え、新しい学習環境の必要性を強く訴求したのだ。某教育委員会はSTEAM教室への導入にさらに前向きになったが、それでも懸念点が残った。それは、大規模な予算を投じて全小・中学校でSTEAM教室に切り替えても、その活用が進まないかもしれないというリスクだ。では、そのリスクを見越した上で、具体的にDISはどんなSTEAM教室を実現できるのか? いよいよ、その詳細提案へと進むこととなった。
(※2) 高性能PC、高速LAN、デジタルコンテンツ制作アプリ、3Dプリンターなど、インフラから周辺機器までをトータルに整備し、インテルの持つSkills for Innovationフレームワークのカリキュラムをもとに、次世代のテクノロジー活用人材の育成を支えるSTEAM教育環境。
- POINT
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販売パートナー向けに「STEAM教育・教室とは何か?」を学ぶ勉強会を実施
「投資に見合う効果が得られるのか?」エンドユーザーの懸念点の払拭を図る
ICT機器から授業づくりまで、他では真似できない、
DISならではのSTEAM教室の提案を
某教育委員会や販売パートナーとの話し合いの中で出てきた要望は多岐にわたるものだった。そんななか、DISは、国内外1,400メーカーのICT商品を取り扱うマルチベンダーである強みを活かして、ハイスペックPC、3Dプリンター、動画編集ソフトといったICT機器の構成はもちろん、その活用のための教員研修、さらにはSTEAM教育を効果的に実現するための可動式デスク、可動式チェア、可動式ホワイトボードまで、各種製品・サービスを一本化して提案した。
なかでも際立っているのは、STEAM教育の知見・ノウハウを蓄積してきたDISオリジナルの「教員向け研修サービス」だ。ハイスペックPCなど各種ICT機器の使い方研修だけでなく、『STEAM教育の授業づくり』にまで踏み込んだ研修は他ではなかなか真似できない。そこにDISのアドバンテージがある。さらに、某教育委員会への詳細説明の段階では、元インテル社の教育部門の知見者の方にも同行していただき、より具体的な授業づくりについても伝えた。
このように、STEAM教室導入後、必ず活用を進められる道筋を示した上で、モデル的に3小学校への導入からのスタートを提案。エンドユーザーのあらゆる要望に応え、また懸念点を払拭したDISの提案は某教育委員会に響き、導入の意志を固めていただくことができ、その後、教育長からも了承され、予算申請への運びとなった。今後、市議会で予算が通れば、数か月後には実際の小学校へのSTEAM教室導入に向けて動き出すことになる。
今回、STEAM教室を導入するのが、先進的教育に積極的に取り組んでいる自治体ではなく、ごく一般的な自治体の某教育委員会が管轄している小学校であることの意義は大きい。この成功事例のもと、DISが中心になって動くことで、日本全国の小中高校に、自治体間格差なく、STEAM教室を広く横展開していく契機になり得るからだ。国として、理系・文系の枠を超えたデジタル人材の育成が急務であるなか、STEAM教室の普及・活用により社会に貢献する人材を多く輩出することで、日本の成長に寄与していきたい。それがDISの願いだ。
- POINT
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マルチベンダーの強みを活かし、ICT機器から教員研修までフルサポート
先進的なSTEAM教室を全国に広く横展開していく契機に